・FXをギャンブルにしない対策が分かります
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FXの一般的なリスク
FX業者のホームページには、為替取引を行う際のリスクが掲載されています。
価格変動リスクは、自分がトレードでポジションをもった方向と逆方向に取引対象のシンボルが値動きすることで生じる損失です。一般的なトレードで生じる損失がこれに当たります。
信用リスクは、口座を開設して取引を行っているFX業者側の問題で、トレーダーの預けている資金が失われるリスクです。国内業者は「信託保全」といって、取引しているFX業者が万が一倒産しても、トレーダーが預けている資金は戻ってくることが保証されていますが、海外FX業者に関しては必ずしもこの限りではありません。
また、FX業者が取引しているカバー先(FX業者がインターバンクと取引する際の大手金融機関のこと)の事情によって、トレーダーの注文がオーダー通りに約定(注文が成立すること)しないことで生じる損失も信用リスクに当たります。
スワップポイントとは、金利の高い通貨と金利の低い通貨のペアを取引している場合に生じる損益のことで、1日以上に渡ってポジションを保有していることで生じるリスクです。
流動性リスクとは、日本時間の早朝などにみられるリスクのことで、相場で取引量が少ない時間帯のスプレッド(買いオーダーと売りオーダーの価格差)が広がることや、注文した価格で約定しないことで生じる損失です。
FXトレードをする際には、さまざまな事業者や機器、電力を使って取引しています。パソコンやスマートフォンの本体はもちろん、その通信を請け負っている通信事業者、電力供給している事業者、取引を請け負うFX業者、そのFX業者が提供している取引システム、FX業者のカバー先やインターバンクに関するさまざまなシステム環境など、一つの取引が行われるためには多数のシステムが稼働しています。
自然災害や地政学イベント(戦争など)により、これらのシステムに障害が生じることでも損失を被ることがあります。
しかし、ここに書かれていない「重要なリスク」がもう1つ存在します。
FXには「依存性リスク」が伴う
先ほど紹介したリスクの他にある「もう1つのリスク」。
「依存性リスク」です。
FXがギャンブルになると、「ギャンブル依存症」と似たメカニズムが生じると考えられます。
FXのギャンブル性は、以前から問題視されてきました。
このため、国は国内FX業者に対して、年々レバレッジ規制を強化。
国内FX業者のレバレッジ 400倍
国内FX業者のレバレッジ 50倍
国内FX業者のレバレッジ 25倍
国内でFXが流行り出した2000年頃に400倍だったレバレッジは、その2年後には現在の25倍にまで規制されました。
最近では、更に規制を強めて「国内FX業者のレバレッジを10倍にする」という噂もあります。
その通りです。
ハイレバレッジによるFXトレードで大金を失う人が続出しました。
残念ですが、レバレッジ規制をしておきながら、令和4年4月現在、国はFXを「依存症」の対象にしていません。
ギャンブル依存症の治療は、公的医療保険が適応になりますが、FXが原因の場合はこの対象外。
国内FX業者が、依存性リスクを注意喚起しないのも、国が認めていないからだと考えられます。
この計画を策定するにあたり、有識者や国民に行ったパブリックコメントでは、「FXも対象にするべきでは?」との意見が寄せられていますが、国は「金融商品取引のため対象にしない」と説明。
リンク 「ギャンブル等依存症対策推進基本計画(案)」に対する意見募集の結果について
↑上の資料の2枚目、中段辺りをご覧ください。
管理人は「金融商品取引だから」という理由が解せません。
法整備上の理由で分類されないとの説明ですが、「その他射幸行為」に当たると思います・・・
FXがギャンブルになる現実
FXは、余裕資金で適切に資金管理さえ行えば、例え結果がマイナスでもギャンブルにはなりません。
趣味の範囲でやっていれば、何の問題もないのです。
しかし、実際にはFXをギャンブル化してしまう人が後を絶ちません。

SNSで散見される「FXで借金した」「FXで大金を失った」などの投稿。
中には、「もう生活が出来ない」という内容のものまで。
「自分でも制御できない」「異常な行動を止められない」など、ギャンブル依存症と同じ症状が見受けられます。
では、我々トレーダーが資産や健康を守っていくにはどうしたら良いでしょうか?
次に、「FXとギャンブル依存症の関係」について考察していきます。
FXとギャンブル依存症の関係
まずは、「ギャンブル依存症」の定義から。
ギャンブル等(公営競技、ぱちんこ屋に係る遊戯その他の射幸行為)にのめり込むことにより日常生活又は社会生活に支障が生じている状態をいう。<ギャンブル等依存症対策基本法第2条>
ギャンブル等依存症の特徴的な症状
・ギャンブルにのめり込む
・興奮を求めて掛金が増えていく
・ギャンブルを減らそう、やめようとしてもうまくいかない
・ギャンブルをしないと落ち着かない
・日常生活や社会生活に重大な問題が生じても止められない、エスカレートする
・ギャンブルのことで嘘をついたり借金したりする
出典 厚生労働省「ギャンブル依存症の理解と相談支援の厚生労働省社会・援護局精神・障害保健課視点」
↑リンクを張っていますので興味のある方はご覧ください。
次に、上の説明を「ギャンブル等依存症=FX」と置き換えてみます。
FXにのめり込むことにより日常生活又は社会生活に支障が生じている状態をいう。
FX依存症の特徴的な症状
・FXにのめり込む
・興奮を求めて掛金が増えていく
・FXを減らそう、やめようとしてもうまくいかない
・FXをしないと落ち着かない
・日常生活や社会生活に重大な問題が生じても止められない、エスカレートする
・FXのことで嘘をついたり借金したりする
いかがですか?
先ほどのTwitterの投稿と重なりませんか?
さらに詳しくスクリーニングできる質問票がありますので、そちらもご覧ください。
「ギャンブル依存=FX」と置き換えています。
※SOGSは世界的に用いられているギャンブル依存の簡易スクリーニングテストです。
SOGS (The South Oaks Gambling Screen)
- FXで負けたとき、負けた分を取り返そうとして別の日にまたFXをしましたか。(選択肢a.しない、b.2回に1回はする、c.たいていそうする、d.いつもそうする(cまたはdを選択すると1点))
- FXで負けたときも、勝っていると嘘をついたことがありますか。(選択肢a.ない、b.半分はそうする、c.たいていそうする(bまたはcを選択すると1点))
- FXのために何か問題が生じたことがありますか。(選択肢a.ない、b.以前はあったが今はない、c.ある(bまたはcを選択すると1点))
- 自分がしようと思った以上にFXにはまったことがありますか。(選択肢a.ある、b.ない(aを選択すると1点))
- FXのために人から非難を受けたことがありますか。(選択肢a.ある、b.ない(aを選択すると1点))
- 自分のFX癖やその結果生じた事柄に対して、悪いなと感じたことがありますか。(選択肢a.ある、b.ない(aを選択すると1点))
- FXをやめようと思っても、不可能だと感じたことがありますか。(選択肢a.ある、b.ない(aを選択すると1点))
- FXの証拠となる物などを、家族の目に触れぬように隠したことがありますか。(選択肢a.ある、b.ない(aを選択すると1点))
- FXに使うお金に関して、家族と口論になったことがありますか。(選択肢a.ある、b.ない(aを選択すると1点))
- 借りたお金をFXに使ってしまい、返せなくなったことがありますか。(選択肢a.ある、b.ない(aを選択すると1点))
- FXのために、仕事や学業をさぼったことがありますか。(選択肢a.ある、b.ない(aを選択すると1点))
- FXに使うお金はどのようにしてつくりましたか。またどのようにして借金をしましたか。当てはまるものに何個でも○をつけてください。(選択肢a.生活費を削って、b.配偶者のお金から、c.親類、知人から、d.銀行から、e.定期預金の解約、f.保険の解約、g.家財を売ったり質に入れて、h.消費者金融から、i.ヤミ金融から(○1個につき1点))
※ 12項目の質問中、その回答から算出した点数が5点以上の場合にFX依存の疑いあり。
※ 3点ないし4点の者は将来FX依存になる可能性が高い。
5点以上なら、FXトレードは健全ではない可能性が高いことになります。
「ギャンブル依存症」は列記とした「病気」です。
簡単に病気の仕組みを説明すると、脳内でドーパミンという化学物質が誤作動を起こしている状態です。

出典:厚生労働省「ギャンブル依存症の理解と相談支援の厚生労働省社会・援護局精神・障害保健課視点」

出典:厚生労働省「ギャンブル依存症の理解と相談支援の厚生労働省社会・援護局精神・障害保健課視点」
依存症には「物質」に依存する「物質依存」と、「行動」に依存する「行動嗜癖(しへき)」がありますが、ギャンブル依存症は行動に依存する「行動嗜癖」に該当します。
物質依存は、その名のとおり、アルコール、ニコチン、覚せい剤など、何らかの物質への依存です。
FXトレードと依存症を絡めて考えてみます。
①興奮体験で脳内報酬系が刺激される
FXトレードで扱う「金額」や「損益額」に対して興奮する。
→脳内の「報酬系」と呼ばれる部分が刺激されドーパミンが大量放出される。
※利益でも損失でも「興奮」すれば同様の反応が起こる。
②大量のドーパミンで快楽を得る
特にトレードで利益を得た時に、大量のドーパミンが放出され快楽を得る。
→「扱う金額が自分にとって大きいか」「トレードに興奮するか」がカギ。
※トレードに興奮するほど得られる快楽は大きくなる。
③脳が快楽を再び求める
一度経験した快楽を脳が求めるようになり、堅実なトレードが続かない。
→「コツコツドカン」がこれに含まれる。
※プロスペクト理論も加わり、コツコツドカンが起きやすくなると考えられます。
④自制できなくなりFXに「依存」する
興奮と快楽を繰り返すうちに、興奮を伴うFXをやめられなくなる。
→「借金」「嘘」「仕事や家事への悪影響」など問題行動が生じてくる。
FXがギャンブルになり得る一線は、自分が興奮する金額かどうか。
これを踏まえて、FXをギャンブルにしないための対策を考えていきます。
FXをギャンブルにしない対策
FXをギャンブルにしない対策は、ここまでの内容を逆説的に考えれば見えてきます。
トレードルールは
・扱う通貨ペア
・トレードする時間帯
・トレードする時間足
・狙う波形
・許容損失
・エントリートリガー
・決済根拠
・撤退根拠
などを固定すると作りやすくなります。
出来れば、1つのトレードルールで100回は検証をしたいところ。
その結果から「勝率」と「損益比率」を算出し、これに「資金比率(口座証拠金に対する1回のトレードで負う損失額)」が決まれば、バルサラの破産確率表に当てはめることができます。
資金比率は、口座証拠金の2%~10%内が理想。
こうして、自分のトレードの期待値が分かると、そのトレードを重ねた結果が想定できるので、興奮する要素が少なくなります。
(例)口座証拠金10万円で資金比率を10%にした場合
①1回のトレードで負える損失額:1万円(証拠金の10%)
②損切額が1万円になるようにロット調整
↓ このトレードで損切になった(証拠金9万円に減)
③1回のトレードで負える損失額:9千円(証拠金の10%)
④損切額が9千円になるようにロット調整
※これを繰り返すと10連敗するまでトレードが可能
こうした資金比率の調整が「資金管理」です。
FXをはじめた頃は、売買ロジックばかりに目がいきますが、管理人は資金管理の方が大切だと思います。
ここがおろそかになると、FXがギャンブルになるからです。
まとめると
■原則
・興奮するトレードを防止する
■具体策
①余裕資金で行う
②自分が冷静でいられる金額で行う
③トレードルールを作る
④トレードの期待値を出す(利益も損失も想定内)
⑤資金管理(バルサラの破産確率を0%)にする
となります。
FXをギャンブルにしないために、定期的にこれらの項目をセルフチェックしながら、期待値の高いトレードを追及していきましょう!